024山岡: 100周年といえば、記念事業のひとつとして西館の建て替えも計画中と聞きました。資材も人件費も高騰する中、ご苦労も多いと思いますが。稲垣: もう本当にいくらかかるか……。当初予算の倍近くになってしまいそうで戦々恐々としています。そもそも日本の医療費は少し頭打ち傾向になってきましたし、診療報酬改定や働き方改革など、削減方向の動きも続いています。この先、病院の収入を伸ばしていくのは容易ではありません。秦: 他病院の方々と意見交換する機会もありますが、保険診療だけでは苦しいので健診事業を充実させたり、シニアマンションと提携したり、何とか他の部分で埋め合わせているという話はよく耳にします。当院の場合も健診と寄付と個室料に頼るところが大きいですが、さらにプラスアルファの対策を打っていかないと厳しい状況です。稲垣: そういう現状認識もあり、基本的には西館建て替えと合わせて、人間ドックの機能を拡大していきたいと思っています。先ほどお話ししたコアバリューや本来の設立趣旨と考え合わせると、人間ドックを拡大することには多少の迷いもありましたが。山岡: 背に腹は代えられない、ということですか?稲垣: それもありますが、これからの時代、未病の段階からしっかりと関わることも大切ではないかと思うんです。それに、北野病院は関西では最初に人間ドックを始めた病院でもあります。国立東京第一病院(現在の国立国際医療研究センター)が半年くらい早くて日本初なんですが、どちらも1954(昭和29)年開始なので、もう70年。いわば人間ドックの草分け的存在だったわけですから、もう一度そこにしっかりと取り組むという方向もありだと考えています。保険診療だけでは立ち行かない時代病院経営に資するプラスアルファとは
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