217 若い頃はあまり歴史を意識する機会がありませんでしたが、このタイミングで理事長に就いたこともあり、改めて過去の記録に目を通してみましたが、病院の存続さえ危ぶまれるようなピンチが何度もあったことが分かりました。開院直前の昭和金融恐慌から始まり、終戦後は病院をGHQに少なくとも25年後、2050年ごろの北野病院はどうあるべきか。そんなイメージを頭の片隅に置きながら、今後の方向性を考えていきたいと思います。接収されなかなか返してもらえませんでした。また、現在の本館を建設する際も、大阪市との土地交換や資金調達で大変な困難がありました。 これらの危機を乗り越えることができたのも、紆余曲折ありながら長い目で見たら順調に発展し続けてこられたのも、ひとえに先人の方々の尽力の結果。その積み重ねの上に100年という歴史があります。今回の100周年は、そうした歴史の重みを再認識する絶好の機会です。同時に、その土先人が築いてきた100年の歴史を礎に新たな北野ブランドを立ち上げる─病院施設や診療面についてはいかがですか? 研修医時代の古くて狭い北野病院と比べたら、信じられないほど立派になりました。当時から「北野ファン」といわれる患者さんが毎日たくさん来られていましたが、外来は座る場所もないほど狭く、皆さん立ったまま待たれていましたからね。その頃と比べると、2022年の着任時には新館も完成していましたし、その後の本館リノベーションで診療機能もアメニティも格段に向上しました。 しかし、本館は2001年の竣工からすでに24年が経過しています。リノベーションしたとはいえ手狭感は否めず、西館を建て替えて健診機能を移転する計画を進めているものの、その後はどうするのか?これは北野病院の将来的なあり方とも関係する大きな課題です。 北野病院はこれまで、最先端の高度医療を提供する急性期病院として歩んできましたが、人口減少と超高齢化が急速に進む中、急性期医療へのニーズも大きく変容していくと予想されます。50年後、100年後を見通すことはできませんが、─50年後、100年後というお話が出ましたが、北野病院は今年(2025年)11月に財団創立100周年という大きな節目を迎えます。
元のページ ../index.html#219