250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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212叶迫 哲哉 施設次長・施設課課長叶迫 そこから、今度は本館リノベーションが始まりました。普通なら基本設計は設計事務所に依頼しますが、それだけで数千万円かかるので、病院整備室長と二人でCADで設計図を描きました。1カ所終わると移転して、跡地をまたリノベ−ションして……という玉突き計画だったので、診療や手術に支障がないよう、各科との調整も綿密に行いました。幸い、非常に皆さんが協力的で、大過なく終えられて本当に良かったです。移転作業も今回は業者さんに頼まず、自前で完了できました。北村 本館リノベーションに併せて、NICUや外来にホスピタルアートが描かれましたよね?京都芸術大学の学生さんに来ていただいて。窓のある病床もそうですが、患者さんにとってはホッとする空間で、間接的ですが大事なサービスだと思います。福井 一番のネックはスペースが限られていたことです。もう少し敷地にゆとりがある病院だったら、仮設のプレハブを建てて発熱外来などにできますが、当院はそういうことが難しいので、とにかく動線を分けるしかない。外来でのチェックは大変だったと思います。コロナの第2波以降は11階東病棟が専門病床になりましたが、私が本当に誇らしく思うのは、コロナ病棟の職員の中から誰一人として感染者が出なかったことです。スタッフ一人ひとりがどれほど注意深く診療にあたったかという証明ですからね。叶迫 コロナ病床を閉鎖した後、アルコールや次亜塩素酸で床がボロボロになっていましたね。福井 逆に言うと、そこまで徹底して消毒していたということですよね。あのボロボロの床にスタッフの想いがこもっている気がして、感動さえ覚えました。北村 私も当時は病棟勤務でしたが、11階東病棟をコロナ病床にすると決まって、各部署から2〜3人ずつスタッフを集めることになった時、「私が行きます」「使命です」と何人も手を挙げてくれました。暑い中、一日中防護服を着て、体力的にも精神的にもたくさんの人々の善意と徹底した感染対策で乗り切ったコロナ禍──新館建設や本館リノベーションが行われた2020(令和2)年から2023年はコロナ禍の渦中でもありました。施設の運用面でもご苦労があったと思いますが。

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