202木戸 宏美 副看護部長との意味を理解しました。というのは、北野病院の再開30周年記念史の中で、いみじくも当時のトップが一様に「人の和こそが北野病院」という話をしているんですね。それを思い起こして、「あぁ、そういうことか!」と、ストーンと腑に落ちました。木戸 私は、議論の中で出てきた「北野人」というフレーズに感動しました。言葉で説明するのは難しいんですけど、自分が大切にしてきた思いがすごく表現されている気がしたんです。私の周囲でも「ええ言葉やね」という意見が多かった。本田 同感です。ただ、例えば若い人なんかはそういう価値観に染まりたくないという気持ちも強いでしょうし、ブランドメッセージとしては使いにくいかもしれませんね。皆が共感できる一致点を探していくというのは難しいことでした。寺嶋 若い人にとっては単なる通過点だと思いますが、私のような年齢になると、歴史や過去を意識するようになります。実は、京都大学が十数年前に日本外科学会を主催した際に、歴史編纂書を作ったんです。ある時それをひもといてみたら、これがまぁ面白い。先ほど言った北野病院の再開30周年史も、医局を掃除していたら偶然出てきたんですが、これも面白かった。やっぱり歴史というのは面白いし、自らを見つめ直すチャンスやきっかけにもなると思いますね。 西 うちの公式Webサイトでは、病院の歴史について結構スペースを割いて説明してますよね。最初は田附興風会という法人名の意味も知らなかったんですが、Webページを読んで、なるほどなぁと感心しました。他の病院でも、見学させてもらうと最初に担当の方から創業者の話をされることがありますよね。創立者の意志がきちんと受け継がれて、大切にされているのは素晴らしいことだと思います。寺嶋 「〜発祥の地」など、病院の敷地内にモニュメントがいっぱいあるのを見ると、歴史の重みに感動しますね。北野病院にも素晴らしい歴史の基盤があることを誇るべきだと感じます。自らを見つめ直すきっかけとして誇るべき歴史を若い世代に語り継ぐ──冒頭で「このプロジェクトは100周年と関係なく始まった」という話がありましたが、結果的には100周年という大きな節目と重なりました。
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