250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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寺嶋 宏明 副院長201か、人の名前っぽいとか、元々地名に由来するとか、理由はさまざまでしょうけど。 西 「敷居が高い」というのは、選定療養費や個室料が関係しているかもしれませんね。「金額的に庶民にはハードルが高い」というか。「そのわりにサービスが残念」というご意見もあったので、そこは見直していきたいですね。寺嶋 個室料は23年前の本館竣工時に高く設定した結果、北野病院に入院することが一種のステータスとして確立してしまったんですね。 西 それでも「入院したい」という患者さんがたくさんいるのが有り難いですよね。私が一番驚いたのは寄付の多さです。格別にアピールしているわけでもないのに、毎年億単位の寄付が集まる。100年積み上げてきたブランド力の強さを感じます。 西 私も最初はそう思いました。結局それほど新しい発見とか、突拍子もない意見が出てくるわけではないですし。でも、議論を繰り返すことによって、言葉に対して「思い」を持てるようになったというか。本田 言葉の意味って、人によって受け取り方が違うと思うんですが、メンバーで何度も話し合っているうちに、意味が共通化していった実感はありましたね。木戸 ディスカッションをする中で「提供価値」という言葉が何度も出てきました。私にとっては耳慣れないフレーズでしたが、「病院や自分の仕事の価値って何やろう?」と考えるきっかけになり、印象に残りました。寺嶋 そういう議論を繰り返した末に、ブランドメッセージの一つの案として「笑顔を支える人の和」というフレーズが出てきた時、ようやく半年以上話し合いを続けてきたこワークショップを繰り返す中で北野病院ならではの「提供価値」が見えてきた──プロジェクトは情報収集フェーズを経て、議論・検証・決定と進んでいきました。寺嶋 コンサル会社の指導に従ってワークショップを繰り返し、職員向け調査も行い、それをもとにハニカムモデルをまとめ、いよいよブランドメッセージを作るというところまで来たわけですが、率直に言って、途中のワークショップは苦痛でしたね。毎回同じような話の繰り返しで、「一体これに何の意味があるんやろ?」と。

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