1412014年ブレストセンターを開設し、初代部長、前部長のめざした乳腺診療を継承しつつ、乳腺外科・形成外科・腫瘍内科・放射線科・病理・緩和ケア・リハビリ・地域医療機関など多職種で、患者さんの治療を計画しサポートしています。①紹介当日に検査。乳癌が疑われる時には穿刺吸引細胞診または針生検などの組織学的検査を迅速に実施します。②手術・放射線療法・内分泌療法・化学療法・分子標的療法や免疫療法などさまざまな治療を組み合わせ、乳癌の根治、再発リスクの軽減、症状の改善をめざしています。再発治療でもそれぞれの患者さんに適した治療計画を相談し、さらに治療に伴う身体的あるいは精神的負担を軽減できるようにアドバイスやケアを行います。③HBOCや他の遺伝性乳癌が疑われる症例についてもカウンセリングで十分な相談とケアを行いながら、保険内外の遺伝子検査、バリアント陽性者のリスク低減治療や手術、血縁者の診断やサーベイランスにも個別対応しています。科・部署のあゆみ北野病院での乳腺診療は2006年3月まで胸部外科が担当していましたが、2006年4月に乳腺外科が開設され、稲本俊部長を中心に、全ての乳腺の疾患について、診断と治療とケアを行うことになりました。乳腺外科の診療で目指したことは、まずできるだけ正確な診断を迅速に行うことで、そのためにステレオガイド下・超音波ガイド下マンモトームを導入しました。乳癌の治療については、乳房温存手術を標準的に行うこと、さらに術前術後の全身治療である化学療法やホルモン療法と組み合わせた治療を、患者さんそれぞれに合った治療計画を相談しながら立てて治療を進めていくこと、看護師が治療に伴う身体的・精神的な負担を軽減できるようにアドバイスやケアを行うことをめざしました。次いで山内清明部長の時代にはいわゆる遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の診療にいち早く取り組み、認定遺伝カウンセラーを招聘しました。HBOC関連の検査や治療は当時まだ保険収載されておらず、リスク低減乳房切除術(RRM)を希望される患者さんは1例ずつ倫理委員会で討議頂いた上で、全て自費で実施しました。乳癌未発症のBRCA病的変異陽性症例の両側RRMは乳腺外科が本邦で初めて実施しました。現在ではHBOC診療の多くは保険収載され、日常診療の一環となりつつありますが、これは当時北野病院が倫理委員会の開催や自費でのHBOC診療に極めて協力的であったことでHBOC診療が全国に広まったと言っても過言ではないと思います。現況・取り組み乳腺外科
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