250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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009公益財団法人田附興風会の100周年を心よりお祝い申し上げます。北野病院は、実業家の田附政次郎氏が京都帝国大学医学部で胸の病を癒されたことに感謝され、同大学の学術研究に資することを目的に提供された寄附金により、1925年に同医学部内に田附興風会医学研究所が創立され、さらに1928年、研究事業遂行のための臨床医学研究用病院が大阪の地に付設されたことに始まるとされています。開院当初は、各診療科は京都帝国大学医学部の顧問教授が直接指導をされていました。昭和の金融恐慌や第二次世界大戦、終戦後の不安定な社会情勢もありましたが、京大医学部と北野病院は、その後も一体となって発展を遂げてきました。今日も、北野病院は、京大医学部の卒業生にとって最も人気のある憧れの病院であります。また、同病院に設置された北野カデットは若手医師が臨床業務の傍ら、研究を進めることのできる貴重な場として機能しています。一方でこの度100周年を迎え、次の100年に向けて、京大医学部と北野病院はどうあるべきなのでしょうか? 21世紀に入ってすでに四半世紀、医学界を取り巻く情勢は大きく変化してきています。少子高齢化による人口減少。働き方改革による医療現場の変化。医学研究におけるAIの導入やデータサイエンス。いずれも、20世紀において日本が成功を収めたシステムに変更を迫るものであります。医療の現場は多様化していますし、臨床研究においても海外のhigh volume centerによる大規模研究に比して、日本は個々の病院がどうしても小規模になってしまう傾向があります。今後、大学と関係病院が一体となって医療人の育成と臨床研究を行っていくことが一層重要になってきていると思います。そういう意味でも、京大医学部と北野病院を中心とする関係病院のネットワークをどのようにして強化していくかを一緒に考えていくことができればと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。京都大学大学院医学研究科長 医学部長(田附興風会 代表理事・副理事長)伊佐 正京大医学部と北野病院の次の100年に向けて

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