1035.病院経営を巡る財政状況の悪化当院の最大の経営課題は、病院建設に伴う巨額の有利子負債の圧縮および莫大な固定資産税への対応問題であった。当院は、文部省通達により、法人所得税が学校法人並みに免除されていることから、固定資産税も免除されるよう、大阪市に要請するも一蹴され、診療報酬を証券化でしのぐ危機的状況が続いていた。更に、開院の円滑化の為に患者様の他院移送もあり、開院時の診療報酬は殆どゼロに等しく、病院経営は破綻の危機に瀕していた。6.2001年末の労使交渉が紛糾深刻な財務状況により、年末の労使交渉では、やむなく年末賞与の大幅削減を提案するに至り、紛糾の極に達した。新病院の開院に向け、懸命な努力を続けてきた職員達の心情を思うと、暗澹たる思いだった。この問題は組合側が地方労働委員会に斡旋調停を申し立てたので、その対応は数年間続いた。7.大阪市に対し、固定資産税の免除を求める訴訟を提起し、完全勝訴の判決を獲得法人所得税を免除する文部省通達に基づき、当院が医学研究所として格別な活動内容および顕著な実績を有するが故に、大阪市は固定資産税を免除すべき旨の判決を求めて訴訟提起し、当院は全面勝訴の判決を得て、経営危機を脱する一方、労使関係も安定化に向かった。本判決については、当財団監事の奥田実氏の卓抜な識見と的確かつ周到な戦略の賜物であり、まさに当院の救世主として、敬意を表する次第です(最高裁でも勝訴判決)。8.病院機能評価において高い評価を得る当院の病院機能が公平な審査機関である(財)病院機能評価機構から高い評価を得た。特に(財)病院機能評価機構との初日の総括質疑において、院内各部の幹部を前に、山岡院長を補佐して応答した時のことは忘れ難い。9.財団事務局長として財団の理事長は京大医学部長が就任し、事務部長は事務局長を兼務したので、随時医学研究所の状況報告を行うと共に、理事会・評議員会では、理事長の指示に従い事務局説明を行った。在任中は中西重忠理事長と本庶佑理事長の著名なお二方から薫陶を仰いだ。10.事務部長の退任事務部長就任から3年が経過し、懸案事項も概ね一段落していた。次は落ち着いた仕事に戻りたいと思っていた矢先に、家裁の調停委員に任命されたので、2024年8月末を以って、退任するに至った。終わりに、在任中は髙月院長や山岡院長はじめ多くの皆様方から、ご支援ご鞭撻を頂戴し、また病院経営にご協力頂いた労働組合に対しても、改めて感謝申し上げる次第です。2004年春の審査に際し、今井副院長からすべての規程・基準の総点検の指示が出され、私は組織体制の諸規程の整備に専念した。
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