公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

薬剤コーティングバルーン

薬剤コーティングバルーン(DCB)とは

血液透析を必要とする患者さんには、透析を行うのに十分な血液量を確保するために動脈と静脈を繋いでシャントを作成します。このシャントが狭くなってしまうことがあるため、これを広げるためにシャント狭窄治療を行う必要があります。

従来のシャント狭窄治療では、6ヶ月間を過ぎて治療効果を保てる開存率は50%にしか満たないと言われており、何度も治療を繰り返さなければならない方を多く認めていました。

しかし2021年7月より当院で採用した薬剤コーティングバルーンは、シャントの6ヶ月開存率を大幅に改善しています。何度もシャント狭窄を繰り返している方に効果が期待できる治療法です。

透析クリニック等に通院中でシャント狭窄を繰り返している患者さんは、北野病院の腎臓内科でこのような治療を行っている旨を、ぜひかかりつけの医師にご相談ください。また紹介状は、腎臓内科宛でご用意いただけると幸いです。なお、病状等によりお受けできない場合もございますのでご了承ください。

日本人コホートの結果 (出典:Medtronic社

治療の仕組み

薬剤コーティング


パクリタキセルという薬剤と尿素からなる独自製剤をまとったバルーンが病変にアプローチします。

薬剤送達


コーティングされた製剤は血管内でバルーンを拡張した時にバルーンから血管壁へパクリタキセルを送達します。

組織内の薬剤


パクリタキセルは血管壁に浸透し、180日以上にわたって検出可能な濃度で血管壁内に留まり、再狭窄を抑制することが期待されています。