大きくわけて二つの方法があります。
@自家組織(自分の皮膚や皮下脂肪、筋肉など)を用いる方法
Aインプラント(シリコンなどでできた人工乳房)を用いる方法
@まず自分の組織を用いる方法ですが、腹直筋(おなかの筋肉)を用いる場合と広背筋(背中の筋肉)を用いる場合があります。
腹直筋はおなかの真ん中に縦に走る二本の筋肉で、日常生活では起き上がる時に働いています。乳房の再建にあたっては1本の腹直筋と下腹部の脂肪組織を乳房欠損部に移動させ、乳房の形を作ります。傷跡は縦に残る場合と下腹に横に残る場合があります。筋肉の1本を使いますが、あとの日常生活に支障が生じることはほとんどありません。
広背筋は腕の付け根から背中にかけて広がる大きく薄い筋肉です。この筋肉に、腰背部の脂肪組織をつけて乳房欠損部に移動させ、乳房の形を作ります。広背筋は腕を後ろへ引く動作を行う時に働いていますが、この筋肉がなくなってもかわりに近くの筋肉が働くので、手術後の日常生活に支障が生じることはほとんどありません。この筋肉を移動して乳房再建を行った場合は腕の付け根から背中にかけて傷跡が残ります。乳房の大きい方の場合、多量の脂肪が必要となりますので、腰部に少し変形が残ることもあります。

おなかの筋肉を使って再建をするか、背中の筋肉を使って再建するかは残っている乳房の大きさやその方の体格によります。入院期間は約3週間必要です。どちらにしても体の他の部位に傷跡が残りますが、形成外科的な縫合をしますので、時間と共にかなり目立たなくなります。できあがった乳房の硬さも自分の組織なので、自然なやわらかさになります。
またこれらの再建方法は保険診療で行うことができます。
Aインプラントを用いる方法
インプラントはシリコンでできた袋で、内部に生理食塩水を入れたものとシリコンゲルを入れたものがありますが、日本では厚生労働省の認可がおりた人工乳房はありません。
2回の手術が必要となります。1回目は大胸筋の下にエキスパンダー(組織拡張期)を入れる手術です。これは乳癌を摘出する手術と同時に行うことも可能です。エキスパンダーに数ヶ月かけて水を注入し胸の皮膚を拡張させます。十分に拡張できたところで、2回目の手術を行い、エキスパンダーを取り出し人工乳房を入れます。1回目の手術は健康保険が適応されますが、2回目の手術には健康保険は適応されません。北野病院では2泊3日の入院で70万円(消費税別)です。
乳頭・乳輪の作成
乳房の形を作った約6ヶ月後に乳頭、乳輪を作る手術を行います。
乳輪は足の付け根の皮膚を移植して作ります。また乳頭は反対側の乳頭を半分採取する場合と、再建した乳房の皮膚の一部を用いる場合があります。
時期
一期的(乳癌切除手術と同時)に行う場合と二期的(乳癌切除手術とその追加治療が済んでから)行う場合があります。どの時期に再建手術を行うかは乳癌の状態にもよりますので、乳癌の治療を行っている医師と相談の上、決めることになります。
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