公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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治療について(腎臓内科)

治療法

慢性腎炎で頻度の高いIgA腎症の治療

IgA腎症は若い時代に血尿で発症し、無症状で進行して約30%に人が、20年で腎不全になり、透析を余儀無くされる頻度の高い疾患です。軽度の血尿を呈する初期の症例に短期(5日間)検査入院を勧め、進行しそうな例にパルス療法を含む治療のため短期入院(2週間)を行い、その後外来での治療を継続します。

難治性ネフローゼ症候群の治療

ステロイド治療に反応しないネフローゼ症候群には、さらにシクロスポリン(ネオーラル)を用いて治療し、ネフローゼに伴う高コレステロール血症に、LDL吸着療法を行い、寛解導入を早め、ステロイド投与量をすくなくする努力をしています。

血液浄化センターにおける各種治療法

慢性腎不全患者に対して、血液透析、CAPD療法の導入を患者さまの積極的同意を得て開始しています。さらに、ECUM(限外濾過法)、血漿交換療法、エンドトキシン吸着療法、LDL吸着療法、クリオフィルトレーション、腹水濃縮再注入等、各疾患に対応した血液浄化療法を緊急にも、維持療法としても施行しています。また、二次性副甲状腺機能亢進症に対しては薬物治療や、副甲状腺切除術を行って骨の病変の進行を防いでいます。

主な基礎疾患について

腎臓病のいろいろ

腎臓内科では腎炎やネフローゼ等の様々な腎臓病を対象としていますが、大きく分けて、腎臓に最初に病気が起こるタイプ(一次性腎疾患)と全身の病気が腎臓に及んでくるタイプ(二次性腎疾患)にわかれます。これらはそれぞれ治療法が異なりますので、はっきりと診断をつける腎生検は大切な手段です。
また、どのような原因でも進行すると腎臓の力が低下して、腎不全になります。こうなった時点では失われた腎機能を補う人工腎臓として、血液や腹膜透析療法が必要です。以下に代表的な腎臓病をあげて説明と本院における対処の状況を述べます。

サイドメモ

腎生検入院

当院では検査のための入院を以下のスケジュールで行っています。

  • 月:入院(7階東病棟 原則として総室)
  • 火:いろいろな腎機能検査、腎エコー検査を実施
  • 水:午前中腎生検、その後6時間ベッド上安静
  • 木:できるだけ安静を保ち、生検後の安全を確認
  • 金:安全を確認して退院

その後、翌週の火曜日に腎生検結果を解析、来院していただき結果と、今後の治療方針を説明します。結果によっては、治療のため再入院が必要なこともあります。(検査結果によっては更に解析に時間を要する場合もあります)

一次性腎疾患

二次性腎疾患

腎不全とは

腎臓の働きが衰え、窒素代謝産物(尿素とクレアチニンが代表的)を十分に尿に排泄できなくなった状態をいいます。
血液尿素窒素(BUN)やクレアチニンが持続的に上昇を示す状態で。急性腎不全と慢性腎不全に分けられます。
腎不全になると、腎臓の働きである以下のような能力がなくなります。

  1. 生体に生じた老廃物(尿素、クレアチニンなど)を取り除く力。
  2. 生体の内部環境(血液PH、塩分、カリウム、水分など)を保つ力。
  3. ホルモンの合成(エリスロポイエチンなど)や分解(インスリンなど)する力。

その結果それぞれ以下の様な症状、検査値異常がでます。

  1. 吐き気、嘔吐、食欲低下、味覚異常、高尿素窒素血症、高クレアチニン血症など。
  2. 浮腫、息切れ、呼吸数の増加、血液の酸性化、心不全、肺うっ血など。
  3. 貧血、筋痙攣、インスリン注射や血糖降下薬を内服している糖尿病患者さまでは血糖値の低下を来たしやすい。

本院では、腎不全の患者さまに色々な治療法と日常生活の注意についてパンフレット等を配布して指導致しております。