プログラム指導者  木内 俊一郎
1. プログラムの目的と特徴

(1)目 的
今回の厚生労働省の卒後研修プログラムの中で、救急医療の必修化が盛り込まれた。これは一般臨床医として研修する過程で、すべての医師が内科系、外科系を問わず、あらゆる傷病に対して適切な初期治療(プライマリケア)を習得することを目的としている。

(2)特 徴

1)当科では3名の救急指導医が常駐しており、時間内にはあらゆる疾患の1次救急から2次救急の患者受入を行っている。また病態に応じて3次救急や心肺停止症例(CPAOA)も受け入れている。年間の救急受け入れ患者数は約17,000名(内訳:1日の総数平均50数名、救急車搬送数12名)である。
2)来院した患者の多くを救急部で診察し、緊急検査や処置を行い、診断、治療まで完結させる。
3)病態によっては、診断後各専門科へのトリアージを行う。
4)入院が必要となった患者は病態に応じて各専門科に引き継ぐ。
5)中毒、各種ショック、急性臓器不全、多発外傷、不明熱、挫滅症候群、心肺蘇生後脳症など、他科で扱わない症例、多科にまたがる症例、入院時に専門科が定まらない症例などは救急部への入院とし、多角的な診断を行ったり、全身管理を行う。

2.研修指導体制

1)指導は日本救急医学会認定医以上の資格を有するスタッフが行う。

2)入院後は指導医とペアとなり、主治医として治療にあたる。

3)救急部以外の科へ入院した症例も手術、検査、治療の際に各専門科指導医の指導を受けることが出来る。

4)時間外(休日や夜間)の日当直には内科系、外科系の研修医当直として勤務するが、その際も救急指導医の指導の下、救急外来診察を経験することができる。

5)脳外科医、循環器内科医、産婦人科医、小児科医は常時当直しているため、時間外診察時にも、それぞれの専門科医師の検査、診断、処置の指導を受けることができる。

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3.到達目標

<1>一般目標   
1)診察、診断、治療を行う上で、医の倫理に基づいた適切な態度と習慣、インフォームドコンセント(説明と同意)を学ぶ。
2)内科系、外科系のあらゆる傷病に対する診断を行うために必要な、血液検査所見、画像所見、生理検査所見の方法と読み方を修得する。
3)診断に基づいた適切な治療方針を修得する。
4)病態の急変時や緊急時にも適切に対応できる訓練を行う。
5)初期には診断が確定できない病態に対して、入院後、診断に必要な検査を系統的に行う方法を修得する。
6)各種重症病態の集中治療を修得する。
7)中毒、熱中症、挫滅症候群など他科で扱わない病態の全身管理を修得する。
8)多臓器障害、多臓器不全、多発外傷など多科にまたがる病態の全身管理を修得する。
9) 救急医療では院内の様々なコメディカルと連携を密に取ってチーム医療を行わなければならない。その実際を体験し修得する。
10)救急医療では救急隊、救急救命士、警察など院外の地域社会のスタッフと関わらなければならないことがある。その実際を体験し修得する。
11)院内、院外(地域社会)との関わりの中で構築される救急医療システムの実際を体験し修得する。

<2>経験目標
<診断学>
1)問診の取り方
2)理学的所見の取り方
3)必要な血液検査の選択と評価
4)必要な画像検査の選択と読影
5)必要な生理検査の選択と評価

<手技>
1)創傷処置
2)骨折の固定と牽引
3)脱臼の整復と固定
4)動脈穿刺と血液ガス分析
5)心肺蘇生法
6)気管内挿管
7)除細動
8)胸腔ドレナージ
9)観血的動脈圧モニター
10)気管切開
11)腰椎穿刺
12)輸血
13)胃洗浄
14)胃管挿入
15)腹腔穿刺
16)中心静脈カテーテル挿入

<各種病態の診断と治療>
1)発熱
2)頭痛
3)めまい
4)ショック
5)意識障害
6)急性心不全
7)急性肝不全
8)脳血管障害
9)急性呼吸不全
10)急性腎不全
11)急性内分泌障害
12) 急性代謝障害
13)敗血症
14)腹部外傷
15)頭部外傷
16)胸部外傷
17)多発外傷
18)急性中毒
19)溺水
20)熱中症
21)各種異物
22)各種精神疾患

4.教育  


救急外来患者、救急入院患者の診察と治療はすべて指導医の責任の下、チーム医療を行う。
時間外の日直、当直を月数回行い、実際の診察を行う。
毎週月、水、金曜日は午前8時30分から部長回診と症例検討会を行う。

5.到達度評価

研修指導医が日頃から実際の医療現場で研修医と面談することで到達度を評価する。
研修終了時に研修指導医の意見を参考に、指導責任者である救急部部長が研修医と面談し、最終的に到達度を評価する。




 


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