■必修科目 2年目
 
神経精神科研修プログラム              プログラム責任者  山岸 洋
 
1.プログラムの目的と特徴

 市中心部に位置する総合病院の精神科である当科は、広域にわたる診療圏、多岐に及ぶ精神疾患、幅広い患者層を対象としている。また54床の完全開放病棟を有して自由な環境における入院治療に配慮しつつ、他科・他医療機関に対するコンサルテーション・リエゾンサービスの提供や身体合併症患者の受け入れも積極的に行なっている。さらにケースによっては、精神科ソーシャルワーカー・臨床心理士などコメディカルの活用により、患者・家族に対する生活・心理的側面への援助を併行している。
このような特色を最大限に生かして、研修医は臨床医として求められる精神科診療の基礎的知識・技術と、医療の根本である医療コミュニケーション技術を短期間で習得することができる。

プログラムの目的は以下の通りである。
@プライマリー・ケアに求められる精神症状の診断・治療技術を習得する。
Aコンサルテーション・リエゾン精神医学に基づいて、身体疾患を有する患者の精神症状の評価・治療技術を習得する。
B患者・家族心理の理解やインフォームド・コンセントに必要な医療コミュニケーション技術を習得する。
C他職種の医療従事者や病診(病院‐診療所)・病病(病院‐病院)連携を通して、チーム医療モデルを理解する。
Dデイケアや作業所など、地域の精神保健活動・社会復帰システムを経験する。
E精神保健福祉法やその他関連法規の知識を得て、精神障害者の福祉人権に対する理解を深める。


2. 指導体制

 担当の指導医が、マンツーマンで日々の指導を行なう。研修医は受け持ち患者の症例レポートを作成し、部長面談により問題点を話し合い、到達度評価を受ける。

3. 神経精神科研修の到達目標


(1)一般目標
 a) 基本的な面接態度を学ぶ。
 b) 主訴、現病歴、既往歴、生活歴、家族歴などを的確に聴取・把握し、記録する。
 c) 精神症状の捉え方を身につける。
 d) 精神疾患に関する基本的知識を身につける。
 e) 精神症状に対する治療法を学ぶ。
 f) 精神療法の基本を学ぶ。
 g) コンサルテーション・リエゾン精神医学についての知識を得る。
 h) 患者家族との関係について学ぶ。
 i) 精神障害者の福祉・人権、障害者のおかれた社会的立場についての理解を深める。

(2)行動目標
 a) 指導医のもとに精神科病棟で5名前後の入院患者を受け持つ。
 b) 外来初診患者の予診を行ない、指導医の外来診察を見学する。
 c) 指導医のもとで他科入院患者の精神症状合併例を往診する。
 d) a)b)c)を通じて、精神症状が的確に把握できるようになる。
 e) a)b)c)を通じて、症例がどの疾患カテゴリーに属するか、即座に判断できるようになる。
 f) 精神科薬物療法についての基本的知識を学び、a)b)c)を通じて、薬剤選択方法を身につける。副作用出現時の対処方法について学ぶ。
 g) a)b)c)を通じて、基本的な精神療法を学ぶ。
 h) c)を通じて、コンサルテーション・リエゾン精神医学について学び、他科との連携方法を習得する。
 i) 患者家族との関わりを通して、家族心理を理解し、家族支援の方法を学ぶ。
 j) 精神保健福祉法について学び、社会復帰に対する施策や、入院治療に際してどのような法的手続きを必要とするかを理解する。
 k) 精神保健指定医の役割について理解する。
 l) デイケア、作業所、保健福祉センターのグループワークなど、地域の精神保健活動を体験する。
 m) 精神障害者がいまなお社会の様々な局面において経験する差別・偏見について、共感・理解する。
 n) 症例検討会・抄読会・病棟会議に参加する。

(3)経験目標

 A) 経験すべき診察法・検査・治療
   @ 精神科診断面接
   A 外来・入院精神療法
   B 精神科薬物療法と副作用の評価・対応
   C 各種画像検査
   D 各種心理検査
 B) 経験すべき疾患
   @ 統合失調症(妄想性障害を含む)
   A 気分障害
   B 器質・症状性精神障害(痴呆を含む)
   C 神経症性障害(パニック障害、強迫性障害、不安障害、解離性・転換性障害、身体表現性障害など)
   D 精神作用物質による精神障害(アルコール依存症、覚醒剤中毒など)
   E 適応障害
   F 生理的障害(摂食障害など)
   G 睡眠障害
   H 人格障害


4. 教育課程

 月曜日:外来・病棟診察
 火曜日:外来・病棟診察、部長回診(10:00〜11:30)
 水曜日:外来・病棟診察、医局カンファレンス(15:00〜16:30)、
       病棟合同会(第2水曜14:00〜15:00)、抄読会・研修医講義
 木曜日:外来・病棟診察
 金曜日:外来・病棟診察
 土曜日・外来・病棟診察(第2土曜を除く)

 この他、機会を設けてデイケア、作業所、保健福祉センターのグループワークなど、地域の精神保健活動を見学する。

5.神経精神科研修の到達度評価方法


 研修時に指導にあたった指導医の意見・評価を参考に、統括責任指導医にあたる神経精神科部長によって行なわれる。評価項目として以下が挙げられる。

  @ 研修医による自己評価
  A 受け持ち患者の症例レポート
  B 担当指導医・統括責任指導医との面談に際して確認された医学的知識・経験、医師としての人間性

 



 


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