田附興風会医学研究所北野病院
糖尿病内分泌センター長
研修管理委員会委員長
越山 裕行
本院は、臨床から出発する研究(patient-oriented research)を目的として設立された研究所が原点ですが、「臨床」、「研究」という2つの柱には当然それを支える「教育」の3つ目の柱が重要となります。本院は設立の最初から臨床研究を行う研究所であるとともに、基礎研究設備も整備されており文部科学省の科学研究費が申請できる数少ない病院の一つです。部長を初めとする多くのスタッフが国内外の学会で活躍し一流雑誌に論文を書いています(
各科年報
を参照)。本院で研修を終えた多くの医師が、全国の大学の教授になって活躍しておられます。研修の早くからこのような基礎・臨床研究の先端の雰囲気にふれることは必ず将来の発展につながると考えます。図書館に雑誌、教科書が常備されているのはもちろんのことE-journal、Pubmed、UpToDateも各端末から参照できるので、研修には充実した環境と自負しています。
本院は、2004年度の臨床研修制度の開始に伴い研修制度の改革に取り組んできました。 2年間の前期研修制度と後期研修(レジデント制度)を構築すると共に、教育のためのさまざまな新しい試みを、足立副委員長(麻酔科・中央手術部長)らの全面的なご協力の下に開始して来ました。前期・後期研修ともに、全国に広く公募して厳正かつ公平な試験制度(学科・英語・面接の3つの試験)により採用しています。一方京都大学などの協力病院として、いわゆる「たすきがけ」の研修医も数名受け入れています。なお08(平成20)年度から内科系、外科系、小児・産婦人科系、自由選択という4つのコースに分けて募集していますが、今後、臨床研修制度の見直しに伴い、柔軟に対応していく予定です。
以下、本院での研修医の教育システムについて概略を述べます(詳細は研修プログラムを参照)。
まず2年間のうち、必修研修としては、内科系必須(循環・呼吸・消化器・糖尿病内分泌のローテートと総合内科研修)、救急部門(救急部と麻酔科)、小児科、産婦人科、精神科、地域医療の6部門を全コースの必須としてローテートします。さらに各コースの必須があります(各コースの必須科目の項参照)。残りの期間は希望に応じて、自由な選択により選択科の研修を受けられます(選択科目の項参照)。地域医療の研修については大阪市や近隣の診療所の研修をしています。
初期2年必須研修を終えた後のレジデント制度(後期研修)は、原則各科に配属されるストレート研修ですが、希望により複数科のローテート研修をすることも認めています。内部から本院の後期レジデントに進む場合は筆記試験は免除されます。
救急は救急部・麻酔科ローテーションの他に、レジデント・内科系医員・外科系医員とともに救急当直研修に携わることにより二次・三次救急の基本を学びます。また全科のスタッフが月2回(土曜日)、救急の基本について「救急講義」とともに、当時の研修医の要望に答えて、各科スタッフを講師とする基本知識についての「コアレクチャー」も開始しました。「コアレクチャー」は内部講師、外部講師によるX線の読み方、腹部エコー、縫合の基本、頭痛の鑑別などの基本的な技術・知識を授けるとともに、本院の使命である将来日本の医学界のリーダーとしての「physician-scientist」を育てる目的のために、院外から著名な教授・研究者をお招きし、research mindを若い頃から刺激することも行っています。
ローテート中にはそれぞれの科の指導医より指導を受けますが、その他の一般的なことの相談役、指導役として、2年目研修医およびレジデントがサポートするというチューター制度を採用しています。医局はワンフロアにあり、研修医は医局でも一カ所に集まるよう配慮しています。医局で気軽に他科医師に相談できるのも本院の特徴です。メンタル面でのサポートも神経科・心理療法士の協力のもとに行っており、当直翌日はコールで呼ばれないような配慮もしています。
さらにハーバード大学医学部を初めとして国内外から著名な外部講師を招いてのベッドサイド教育・症例検討会・講演会(国際セミナー)を行っているのも本院の特徴です。
また2011年度からは2年目の研修医が最初のオリエンテーションに参加するのでみなく「SRのSRによるSRのためのコアレクチャー」と題して「プレゼンテーションの基本」などの講義を1年目にすることも開始しております。
さらに当院の教育システムは医師対象のもののみでなく、看護部門では独自のプログラムにより、教育・研修が計画的に行われています(研修プログラム:
看護部門
参照)。さらに他のあらゆる部門においても教育・研修が行われています。NST講演、リスクマネッジメント講習、接遇講習などあらゆるテーマの教育プログラムが実施されています。
以上のように当院は教育に非常に力を入れています。全国から、向学心に燃える方が研修医およびレジデントに引き続き応募されることを心よりお待ちしております。
(2011年8月)
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